がんの組織診断は病理組織診断検査です

病院や診療所で胃カメラや大腸カメラをした際に組織を取ってきて悪性(がん)かどうかを検査する事を病理組織診断検査といいます。

病理組織診断検査が使われるのは他にも皮膚に出来た腫瘍やホクロ、子宮頸部等がございます。

 

多くの病院や診療所では病理検査が出来る設備や病理医を置いていませんので専門の検査機関が代わりに検査する事になります。

 

その為、流れとしては病院や診療所に受診して組織を採取、検査機関が組織を預かり検査を行い、病院や診療所に報告を行い患者への説明といった形になります。

7日〜10日後に結果を聞きに来て下さいと言われるのはその為です。

 

ここで重要なのは検査が病院の医師ではなく検査機関に委ねられてるといった点です。

 

どれだけ良い医師や信頼出来る医師のいる病院や診療所を受診してもその医療機関と契約している検査機関が良くない所だと信頼出来る結果が返ってくるとは限らない事があるという事になります。

もちろん良い医師や信頼出来る医師は疑問のある結果が返ってくれば検査機関に再検査の依頼をするでしょうがその結果を信用してしまう事がないとは言えません。

 

自分自身や大切な家族が誤診を受けないよう受診する医療機関に関わる検査機関にも注意してみても良いかもしれません。

潰瘍性大腸炎の経過観察に新しい便中マーカーを

 

潰瘍性大腸炎とは?? 

潰瘍性大腸炎クローン病とともに炎症性腸疾患と総称される慢性の炎症性疾患で国の難病に指定されています。
根本的治療法が確立されておらず、再燃と寛解を繰り返す非常に大変な病気です。

 

これまでの経過観察は??

これまで潰瘍性大腸炎と診断された方の経過観察には内視鏡検査が必要でしたが内視鏡検査は患者様が苦痛を伴う検査(内視鏡の上手なドクターであれば痛みはないようです)であり術中に粘膜を傷つけてしまうリスクもありました。

 

新しいマーカー便中カルプロテクチンとは?? 

2017年6月に保険適用となりました便中カルプロテクチンは、主に好中球の細胞質に含まれる分子量36kDaのカルシウム・亜鉛結合 タンパク質で潰瘍性大腸炎の評価に使える検査として注目されています。

クローン病は保険適用ではありません。

 

他の食道炎や食道がん等でもカルプロテクチンの値が上がってしまうという問題点もありますが寛解のタイミングで測定して3ヶ月毎に経過を測定していくことで内視鏡検査を省略する事が出来ます。

 

このような新しい検査がどんどん出来て苦痛から救われる方が多くなればと思います。

ノロウイルスの特徴と様々な検査

 

ノロウイルスとは??

ノロウイルスは冬場の12月~翌年1月が発生のピークになる食中毒および感染性胃腸炎の主な原因となるウイルスです。

主にはヒトの手を介した感染となり、調理施設、医療現場、老人介護施設および保育園では感染に特に注意する必要があります。

 

ノロウイルスの種類??

ヒトに感染する主要なノロウイルスは、現在2つの遺伝子群(GIとGII)、さらにGIは9種類(GI.1~GI.9)、GIIは22種類(GII.1~GII.22)の遺伝子型に分類されています。
この中で、急性胃腸炎あるいは食中毒患者から、検出頻度が高いのは、GI.2、GI.3、GI.4、GI.6、GII.2、GII.3、GII.4、GII.6、GII.14、GII.17などです。

 

ノロウイルスの検査は保険が効く??

ノロウイルス検査にはいくつか種類がありますが大きく保険適用の検査と保険適用のない検査に区別されます。

 

保険適用と自費診療

保険適用とは健康保険を用いて3割の費用負担で検査出来る事です。

誰もが高額な医療費を支払うのは嫌なので保険適用を望まれると思います。

 

保険適用の検査とは??

保険適用の検査にはノロウイルスの迅速診断キットがありこれは医療機関内でイムノクロマト法を用いた簡易キットで測定する検査になります。

医療機関内で検査出来るのですぐに結果を知る事が出来ます。

簡易といってるぐらいなので検査の正確度は他のノロウイルス検査に比べ落ちます。

という事は検査で陰性となっても真の陰性かどうかはわからないという事になります。

医療機関や食品を扱う業界などで働いている方か「検査で陰性」という事で安心して仕事に従事する事により感染を広めてしまう可能性があります。

 

また、保険適用になるといっても条件があります。

ア 3歳未満の患者
イ 65歳以上の患者
ウ 悪性腫瘍の診断が確定している患者
エ 臓器移植後の患者
オ 抗悪性腫瘍剤免疫抑制剤、又は免疫抑制効果のある薬剤を投与中の患者

 

上記に当てはまっている方のみが保険適用が認められています。

 

保険適用以外の検査は??

保険適用になっていない検査にはノロウイルス抗原ELISA法、ノロウイルス抗原BLEIA法、ノロウイルスRNA RT- PCR法、などがあり全ての検査で保険適用の検査を上回る感度や特異度を持っています。

※当日中には検査結果は出ません。

 

では何故良い検査が保険適用となっていないのでしょうか? 

それは「ノロウイルスには特効薬がない」からです。

ノロウイルスという事が分かっても対症療法と水分摂取困難時の点滴くらいしか治療はありません。

だから検査そのものがあまり意味を持たないのです。

 

ただ、調理従事者の方は厚生労働省が検査を勧めていますし医療従事者の方も疑わしい時は検査をして感染を広めない心掛けが必要であると思います。

 

STD(性感染症) HIV検査のタイミングと結果解釈

HIVの検査はエイズ後天性免疫不全症候群)の原因ウイルスであるHIV感染があるかどうかを調べる為にするのですが、HIV検査には色々な種類があるのをご存知でしょうか?

 

HIVの検査をする機会というのは

1.HIVに関する何らかの症状が出て医療機関を受診する場合

2.最近、性交渉を持って不安に思い検査する場合

3.他の疾患での手術前検査や妊婦健診、健康診断のオプションで検査する場合

等々があるかと思います。

 

検査の手順としてはまず「抗原抗体同時検査」を調べ陽性の方には「抗体検査(ウエスタンブロット法)」や「核酸増幅検査(NAT検査)」を致します。

ここでポイントなのは「まず」「抗原抗体同時検査」という所です。

「まず」という位なのでこの検査で陽性が出てもHIVではない可能性があります。

これは検査全般にいえる事ですが、最初に行う検査は陽性の方を間違いなく陽性(感度)として報告しなければいけません。

本来は陰性の方(HIVではない方)も一部陽性に出てしまいますが最初のスクリーニングとしてはこれで良いのです。

その後に本当の陽性(HIVの方)かどうかを核酸増幅検査(NAT検査)や抗体検査で判定致します。

そこで初めて本当の結果が判明するわけです。

 

この事から妊婦健診や健診のHIV検査(抗原抗体同時検査)でもし陽性になったとしても焦る必要はありません。

多くの方は次の検査で陰性になります。

 

このような検査項目ごとの特徴を理解して実施頂く事が大切ですがご専門のドクターを除いてはあまり知られていません。

 

このブログを見て頂いている皆様が知識を持っていただく事で不安を煽られずに真の結果が判明する事を祈念しています。

 

補足ですが、

HIVには1型と2型があり上記の確認試験でご紹介した核酸増幅検査(NAT検査)には1型しかございません。

また、HIVの感染初期には検査では分らない時期がありますので感染が疑われてから1〜2ヶ月後に検査する必要があります。

つまり昨日検査して陰性の方は1〜2ヶ月前まではHIVにかかっていないという事しかわからないという事です。